非平衡プラズマ脱着による低濃度ガスの濃縮技術

          大阪府立大学 環境保全学研究グループ


一般産業からの排気ガスは、ppm程度以下と濃度が低く大容量で、これをそのまま処理することは経済的ではない.そこで我々は低濃度大容量ガスをモレキュラーシーブなどの粒子に吸着させ,非平衡プラズマを用いてできる限り低電力で脱着させ,高濃度小容量ガスに変換して処理する技術を検討している従 来の脱着技術は圧力スイングや高温スチームを使うが、いずれも大量のエネルギーを要し、脱着効率も比較的悪い.しかし、近年われわれの研究により,低電力 で形成できる大気圧非平衡低温プラズマによる効果的な脱着の可能性がでてきたので、吸収、脱着、再生、分解を一段のプロセスとする新しい技術を開発し,エ ネルギー効率の面で一桁以上大きい揮発性有機物やNOx,フロンなどの処理技術に応用する.


 

図1 実験装置概略図

2% NOと乾燥空気とをマスフローコントローラを用いて流量を調節しながら混合し,直径20mmのバリア式プラズマリアクタ内に充てんされたモレキュラーシー ブ13X(MS-13X)に吸着させた.その後,非平衡プラズマを発生させ,吸着したNOを脱着させ,高濃度化を図った.NO濃度ならびに各種副生成物濃 度をガス分析計により測定した.


図2(a) 吸着プロセス(プラズマなし)

2(b) 脱着プロセス(プラズマあり)

プラズマを印加せずに100ppm で10時間吸着させたNOが(図2(a)),プラズマを印加することにより(図2(b))3分間の脱着で2500ppm を超える値まで高濃度化できた.この様な高濃度化技術により,排ガス処理装置の規模の大幅な縮小ならびに高効率化が可能となる